変更をしていないと、亡くなった妻を軸にするのではなく、受取人であ る父(故人)を軸にして保険金が分割されることとなります。 常識的に考えると、支払われないはずの人にも保険金が渡ります。 夫A = 500万円、長男B = 500万円、次男C = 500万円 亡くなった妻の姉D = 500万円、亡くなった妻の弟E = 500万円 夫A = 2500万円 ケース 2 の問題点 → 保険金が多数の人に分散 ケース 2 で受取人を変更しないままでの保険金受取人と受取金額 ケース 2 で妻の生前に受取人を夫に変更した場合の保険金受取人と受取金額 受取人(故人)の配偶者や子がもらう 保険法によると、故人となっている人が受取人である場合は、 一般的にはその方の配偶者や子が保険金の受取人となります。 ケース2では、受取人のままであった妻の父(故人)の子である、姉 D、弟E、それと急逝した妻の夫A及び長男B、次男Cの5人が受取 人となりました。こうした際、相続における法律で定められた按分 ではなく、5人を平等按分にするとの判例があります。 税務のプロが語る 「知っ得話」 第3章 Aさんの奥さんが交通事故で急逝しました。自分の死亡保険の受 取人にしていたのに、先立たれて落胆していました。でも、この場 合には保険契約の見直しをすることが求められます。また、結婚な どで家族構成が変化している際には、保険受取人を変更しないまま にしておくと、夫や妻、子供以外にも保険金が支給されてしまうこ とがあります。 〈ケース1〉亡き妻から長男 1 人へ名義変更 保険の受取人を、とりあえず亡くなった妻から長男に名義変更し ました。子は 2 人おり、先行き相続の段になったら二人で分け合っ てもらいます。 〈ケース2〉亡き妻自身の保険の受取人(故人)の変更忘れ 事故で妻が亡くなりました。妻は結婚前に保険関係の仕事をして いて、自らも保険に加入していました。受取人の名義は妻の父(故人) で、そのまま変更をせずにいました。事故後に死亡保険金 2500 万円 が支払われました。自分らには長男Bと次男Cの二人の子がいます。 妻には姉Dと弟Eがいます。保険金は誰に渡るのでしょうか。 保険金の受取人の妻に先立たれた 保険金の受取人 10 ケース1の問題点 → 将来の贈与税の発生に注意 ケース1の対応策 → 受取人ごとに契約を分ける 生命保険契約上の受取人以外の人が受け取った保険金は、本来の受 取人から贈与されたこととなり、贈与税がかかります。上記のケース の場合、将来の相続発生の際には、保険金2000万円の受取人は長男1 人です。兄弟で二等分すると、次男の分の1000万円は長男からの贈与 となります。次男が払う贈与税額は231万円にもなってしまいます。 契約を受取人ごとに分割することをお勧めします。保険は契約時の 精査だけでなく、定期的に契約内容を点検しておくことが賢明です。 3