物納された財産は国が管理、処分することになります。それらがス ムーズに行えない事由がある財産は「管理処分不適格財産」とされます。 例をあげると次のような財産をいいます。 ⃝ 担保権が設定されている不動産 ⃝ 権利の帰属、境界が明らかでない不動産 ⃝ 道路に接していない土地 ⃝ 管理、処分を行うための費用が過大となると見込まれる不動産 ⃝ 譲渡制限株式 地上権、永小作権または耕作を目的にする権利が設定されている土地 ⃝ 法令に違反して建築された建物及びその敷地 ⃝ 保安林として指定された区域内の土地 ⃝ 道路に 2 メートル以上接していない土地 ⃝ 事業の休止をしている法人の株式 ●物納に充てる財産が「管理処分不適格財産」に該当しないこと ●物納に充てる財産が「物納劣後財産」に該当する場合は、 他に物納に充てるべき適当な財産がないこと 〈物納の要件2〉 左記〈要件1〉に加えて以下の要件も必須です。 〈管理処分不適格財産とは〉 〈物納劣後財産とは〉 現金を隠して土地で物納の考えは甘い 「現金はあるけど、使い勝手の悪い土地があるから、それを物納 してしまおう」なんて考える人もいらっしゃるかもしれません。 でも、 残念ながらそれはできません。 物納を申請した際には、税務当局は 通常、調査を念入りに行います。 本当に現金がなく、延納の予定も 見込めない場合でない限り、物納は認められません。 税務のプロが語る 「知っ得話」 第3章 〈ケース〉 相続税の納税期限が近づいているのに、遺産となった不 動産は買い手がつかないし、預金もわずかでした。相続する自分ら もまだ就職前で、お金がありません。物納という手立ては利用でき るのでしょうか。 相続税を物納で済ます際の条件 相続税の物納 5 〈物納とは〉 〈物納の申請〉 〈物納の要件1〉 物納では以下の要件を全て満たすことが必要です。 延納しても金銭で納付することが困難であること その際、金銭では払えない額を物納分の限度とする 物納申請財産は、相続財産のうち所在が日本国内にあることが 条件で、次に掲げる財産が対象となる 第1順位 ①不動産、船舶、国際証券、地方債証券、上場株式 ②不動産及び上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの第2 順位 ①非上場株式等 ②非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの 第3順位 動産 納税は金銭で一括納付するのが原則です。しかし、延納(分割納付) すら困難な際には、一定の条件のもと、納税者が申請することで相続 財産による物納(モノによる納付)が認められています。 相続税の納付期限または物納申請期限までに、物納申請書に物納手 続関係書類を添付して税務署長に提出することが必要。 3