連帯保証債務が廻って来た怖い話 Aさんが、亡くなった父親の自宅を一人息子として相続しました。 慎重だった父親に借金はなく、Aさんは相続に何の不安も持ってい ませんでした。 ところが、叔父が最近破産したことで、寝耳に水、なぜかAさんの 預金が銀行に凍結されてしまいました。 慌てて税務のプロに相談 に行きました。 Aさん 「私はもちろん、父も叔父の借金の保証はしていませんでした。 なんで私の預金が封じられてしまったのですか」 税務のプロ 「本当にお気の毒なお話です。 その銀行に確認したとこ ろ、Aさんの叔父様(父の弟)は自分の母親に借金の保証人になってもら っていました。 お父様は母親が亡おくなりになった際に相続放棄しなか ったので、母親の叔父様への保証はお父様に移り、その保証が破産で 噴き出し、結局相続人のAさんに廻ってきた訳です。 ひどい話ですが、 法的には可能です」 Aさん 「そんな・・・・」 税務のプロ 「まずは、その銀行と交渉しましょう。 最悪は、相続放棄も 検討します。 連帯保証制度には批判も多いですが、現状は厳しいです」 税務のプロが語る 「知っ得話」 第3章 相続した財産も大きいが、残された借金の大きさにもびっくり。 こんな場合、財産から借金分が差し引きできる制度が使えます。ご 説明しましょう。 多額の借金は財産から差し引ける 債務控除 3 〈債務控除とは〉 〈生前の債務のみ対象〉 差し引くことのできる債務は、被相続人が亡くなった時にすでにあ った借金や車のローンなどのほか、亡くなる直前に病院へかかってい た場合にはその治療費や入院費用も含まれます。生前にすでに支払い 義務の確定している固定資産税や所得税なども対象です。 土地1億円 -(これから返していく)借金 3000万円 = 課税対象7000万円 銀行や会社などからの借金やローンとその未払い利息 固定資産税や所得税、事業税などの税金 未払いの公共料金 預かり敷金・保証金 遺言執行費用 弁護士や税理士に支払う報酬 保証債務(債務者が債務を履行しない場合、その債務者に代わっ て借金返済などを肩代わりして履行する保証人の債務) 〈差し引くことのできる債務の例〉 〈差し引くことのできない債務の例〉 相続税には「債務控除」という制度があり、相続した財産から引き 受けた借金(債務)の額を差し引いて相続税を計算します。 対象者は相続人等に限定されますが、通常の相続で親の財産と借金を 子供が相続する場合には適用の対象となります。 〈ケース〉 例えば、親の残した課税評価額 1 億円の土地と、その代金 の未払い分 3000 万円を息子が相続した場合を想定します。相続税の 対象は以下のように 7000 万円となります。 3