〈値下がりケース1〉 〈値下がりケース 2〉 例えば、先ごろ亡くなった父が5000万円で購入したAカントリーク ラブの相場が、死亡時に1000万円の場合は700万円の評価となりま す。ただし、相続直前に売却していると売却代金が1000万円の現金資 産となり、70%の評価は適用されません。 上記よりずっと前の過去の相続ではどうなるでしょうか。たとえば 父は5年前に亡くなり、その際に名義変更で会員権を引き継ぎ、先ごろ 売却したとします。今は亡き父は30年前にその会員権を3000万円で購 入しました。最近の値下がりでやむなく500万円で売りました。2500 万円の譲渡損です。しかし「平成26年度税制改正法」成立で、ゴルフ会 員権の個人の譲渡損の損益通算は認められなくなりました。すでに会 員権の分の相続税は支払い済みなので、新たな課税も発生しません。 亡くなった日のゴルフ会員権の取引価格の70% = 課税評価額 ゴルフ会員権は、いくらで購入したかではなく、取引相場のある会 員権の場合は現在の相場の70%での評価となります。相続する際も同 様です。 先手を打って生前贈与が有利になる場合もあります。今後、値上が りが確実な会員権です。10 万円で購入したBカントリーの現在の相場 が 150 万円と仮定します。息子へ生前贈与すると贈与税は無税(評価額 105 万円 = 150 万円 × 70% =で基礎控除 110 万円内)となり、将来、 もし値上りすれば相続対策となります。 例えば 5 年前に亡くなった父が 30 年前に 200 万円で購入した会員 権を名義変更で引き継ぎ、現在相場が 500 万円に上がっていたとしま す。それを売却した際には 500 万円 - 200 万円 = 300 万円の譲渡益が 生じ、既に支払った会員権相続の分の相続税とは別に課税されます。 〈値上がりケース1〉 〈値上がりケース2〉 3年10カ月以内の売却に特別措置 上記の〈値上がりケース2〉については、亡くなった日から3年10 カ月以内に会員権を売却すると、すでに支払った(会員権分を含め る)相続税と、売却時の譲渡益への税との「二度の課税」に関して軽 減される特例があります。 会員権の評価額に対する相続税の課税 分については、売却益から差し引くことが可能になります。 例えば 相続した当時の相場は400万円で52万円がゴルフ会員権の相続 税相当分だったとします。 購入時の額200万円+52万円(既に支払った相続税分)=取得費 この取得費が売却額500万円から差し引けます。 つまり譲渡益 300万円から相続時に支払った税の分、52万円を差し引けるわけ です。 税務のプロが語る 「知っ得話」 亡くなった日から10カ月以内が相続税の申告期限。その期限から3年(=通 算3年10カ月)以内が、特例適用の分かれ目です。 値下がりの場合、この特例 は活用できません。 第2章 バブル期に購入したゴルフの会員権は、今や大幅に取引価格が下 がっています。5000 万円で購入した会員権でも、相続税に関する評 価は現在の取引相場が基準となります。また相続税を軽減する特別 措置も要注視です。 ゴルフ会員権、値下がりしても要注意 ゴルフ会員権の相続 14 2