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税 務


       
償却資産申告書の基礎知識


               税経管理第7部 部長 鈴木 正美


1 償却資産申告書の内容


 毎年年末になると、市町村から送付されてくる、償却資産申告書を

ごらんになる方も多いと思いますが、給与の年末調整の時期と重複す

るため、あまり強い印象がないと思われます。

 この、償却資産申告書は、毎年1月1日に償却資産を所有する者が、

償却資産所在地の市町村長に、その取得時期や取得価額等を、申告し

なければならないとされているものです。そして、この償却資産申告

書の申告により、固定資産税が課税される償却資産の価格が決まりま

すので、固定資産税の納税額に関わる重要なものと言えます。

 なお、土地や建物については不動産登記簿等を基礎として課税され

ますので、土地や建物の所有者に申告の義務は、特別の場合を除いて

ありません。


2 固定資産税の課税される償却資産とは


 固定資産税と言えば土地や建物に課税されるものと思われがちです

が、この他に償却資産(機械や備品など)についても課税されます。

 償却資産とは、どのような資産かといいますと、土地及び家屋(建

物)以外の事業の用に供することが出来る資産でその減価償却額また

は減価償却費が、法人税法または所得税法の規定による所得の計算上、

損金又は必要な経費に算入されるものと規定されています。

 ただし、漁業権や特許権のような無形減価償却資産や、自動車税や

軽自動車税が課税される自動車は除かれます。

3 償却資産申告書の申告期限

 償却資産申告書の申告期限は、通常毎年1月31日までとされてい

ます。ただし、市町村長が災害その他やむを得ない理由により、定め

られら期限までに申告することができないと認めるときは、その市町

村の条例の定めるところにより延長できるものとされています。


4 償却資産の固定資産税額


 償却資産の固定資産税額は、その償却資産の賦課期日(1月1日)

における価格(時価)で固定資産課税台帳に登録された課税標準に税

率を乗じて算出されます。

 なお、税率は標準税率として100分の1.4が規定されています。た

だし、市町村により財政上特別の必要がある場合には、100分の2.1

までの間で標準税率を超える税率で課税することができるとされてい

ます。ちなみに、旭市、八日市場市、銚子市、飯岡町などは、1.4%の

標準税率とされています。

 この税額の計算は時価で行うこととされていますので、申告により

登録された資産は、耐用年数に対応する償却率により償却費が計算さ

れ、毎年その時価は減少します。従って、固定資産税の税額も時の経

過とともにその資産に対応するものは減少して行くことになります。


5 固定資産税の免税点


 固定資産税は、同一の者がその市町村において所有する土地、建物、

償却資産それぞれの価格の合計が、土地にあっては30万円、建物に

あっては20万円、償却資産にあっては150万円に満たない場合には

特別の場合を除き課税されません。

 従って、償却資産申告書により申告を行っても、各償却資産の時価

の合計額が150万までは、償却資産に対し課税はありません。


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