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11 ・12
−分岐点 2001年9月−

November・December 新世紀に入って初めての戦争が始まりました。9月11日

のニューヨーク、貿易センタービル等に対するテロが発端です。米国は、

ビンラディン氏をテロの首謀者と特定し、その引渡をアフガニスタンのタリ

バン政権に求めました。タリバンの要求拒否より戦端が開かれました。

 テロにより無垢の市民がニューヨークで6千人以上殺され、その反撃で

又無垢の民がアフガニスタンで死んでいます。もっとスマートな対応はない

のかと思います。

 今回の飛行機ハイジャック犯には、高学歴のインテリが何人かおり、学

生仲間の評判も礼儀正しく親切な優等生像です。ビンラディン氏も学生時代

は同様な人物評です。サウジの一代で大成功したディベロッパーの億万長者

を父に持つ、何の不自由もない御曹司が、対ソビエトのアフガンゲリラに身

を投じ、次いで、対アメリカのゲリラを組織する。彼及びその仲間の真のね

らいを知りたいと思います。アラブと西欧間の歴史を少しかじると、様々な

過去の軋轢が判ります。

 今回の事件で、ハンチントンの「文明の衝突」が再度脚光を浴びました

が、立花隆氏が言うように、文明の衝突は千年前から起きており、今必要な

のはトインビーの提案した、各国家が容認できる最小公約数で世界国家を作

り、諸文明の対立を克服していく考えです。けだし慧眼です。最大公約数で

はなく最小公約数とするところがポイントです。米国ブッシュ大統領の「米

国の味方でなければテロの味方」ではなく、「敵でなければ味方」が最小限

国家の論理です。最小公約数には、反テロはもちろん含まれます。



 同じ時期に、日本では狂牛病の騒ぎが持ち上がりました。大変不思議な

ことは、英国で狂牛病が発症しその原因が肉骨粉であると推定され、米国等

はその時点で英国からの肉骨粉の輸入を禁止したにもかかわらず、日本はそ

の後も輸入禁止措置をとらなかったことです。消費者である国民の保護の視

点が欠けています。米国での狂牛病の発症は現在のところありません。日本

でも現在のところ、ヤコブ病等人体への問題は起きていませんが、牛肉関係

者は甚大な被害を受けたものと思います。行政の不作為の責任は重いです。

 日本のサリドマイド児の薬災も、行政がサリドマイド剤を許可したこと

が原因です。米国では担当女医の判断で安全性に疑問があるとして許可は見

合わされ、サリドマイド過は無かったと聞いています。

 必要な規制がルーズで、不要な規制ばかり多い。小泉首相の特殊法人の廃

止、縮小を含めた聖域無き構造改革も、官僚と族議員の抵抗で当初の予定よ

り大幅に後退しそうです。税金の垂れ流しに歯止めが掛かりません。ここで

歯止めをかけないと、将来世代に返済不能な大借金を負わせることになりま

す。

 国民の公僕、国民の幸福のために官吏はいるのです。選良意識のみ強く、

国民の規制と自分たちの権限保持に注意が行きすぎて最重要な務めを忘れて

いるように思います。日本国民の民度の高さを考慮し、無意味な規制や組織

を廃止し、国民重視の行政の仕組みを創ってほしいものです。 2001.10.22 



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