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サロン
                         本 と 私

                        経営管理第3部長 関根 清

 世の中には何々中毒といわれるなかに、活字中毒というものがあります。

これは、ひまさえあれば、なにかしら活字をおっていないとおちつかない

人のことで、良くいえば本好きの人のことです。私もそのはしくれの一人

かもしれません。昔、学徒兵が戦場でメンソレタームの裏蓋にかかれた細

かい効能書きを、何度も何度も読んでいたということをなにかで読んだ記

憶があります。おそらく彼の周辺にはそれ以外活字で書かれたものがなか

ったのでしょう。

 今は、本が洪水のごとく出版され何を読んだら良いのか迷うばかりです。

私の貧しい本棚を眺めてみると、種々雑多な本の堆積です。鴎外、荷風、

漱石、潤一郎、鏡花等の文学者、幕末維新時から昭和近代に至る間の史論

、日本古代史に独特な史観で挑戦する梅原猛氏の評論集、「ロッキード裁判

傍聴記」「猿学の現在」「日本共産党の研究」「臨死体験」等多くの著書を出

されている立花隆氏の評論のいくつか等があります。又片隅には古典落語

全集があり、疲れた時は時々読んでいます。

 二十代のころは、太宰治を始めとする小説類や、現代詩を中心とした詩

や詩論をを読んでいました。金子光晴、北川冬彦、高橋新吉などです。

 この十数年はノンフィクション物がほとんどであり、特に幕末維新史と

昭和史関連に興味があり、解らないながらも読んでいます。

 前者に関しては 大佛次郎著「天皇の世紀」全十巻(各頁平均四百頁)

があります。これは朝日新聞に昭和42年元日から昭和48年4月25日迄連載

されたものであり、著者が病気のため未完に終わっています。

 嘉永六年六月三日(1853年)ペリー来航より徳川幕府瓦解、明治元年10

月越後長岡藩降伏迄の激動の時代を、幕府、薩摩、長州、土佐、水戸等の

要路に当たる人達及び、孝明天皇始め朝廷重臣達の動きを当事者の書輪や

天皇の家輪をまじえ詳細に書かれた物です。これを読むと西欧文明の力の

前に、否応なく開国させられた日本の姿と、対米交渉に当たる幕府閣僚達

の苦悶が読む人の心をうつものがあります。

 昭和史関連では、松本清張著「昭和史発掘」全十三巻(各頁平均三百頁)

児島襄書「日中戦史」全巻(各頁平均五百頁)勝田龍夫著「重臣たちの昭

和史」上下巻(各頁平均四百頁)又、文芸春秋社より出された「文芸春秋に

みる昭和史」全三巻(平均七百頁)等があげられます。これらの内容につき

ましては、次回にさせてもらいます。



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