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5・6May June  時は春。小学校の新入生達が黄色い帽子をかぶり、黄色いカ

バーを
したランドセルと新しい世界への夢を背負って通学を始めました。白

い歩道線も消えかけた狭い歩道というよりどぶ板の上を、一列になって、時には

ブロック塀に体をくっつけるようにして歩いています。彼らの目線から見ると、

スピードを出して迫る車は走る凶器に写るでしょう。車を防御するもののない歩

道を歩くことはさぞかし怖いでしょう。

 旭市は、歩行者を車から守ってくれるガードレールのない歩道がほとんどです。

私も以前、旭中央小学校の近くの市内を東西に走る主要道路を歩きましたが、歩

道と言っても白線だけでかつ車の通りが激しいので、ちょっとつまずいたら命が

危ないと感じました。その後2度とこの道は歩きません。そういった場所が何カ

所もあります。都心から来た友人達は、旭市の歩道状況を見て「ひどい」の一言

でした。これで健康都市宣言とは、と嗤っていました。

 旭市の中央小学校の先生に死亡事故の件数をお聞きしたら、彼女の在任6年間

では中央小で死亡事故はなく、通学中の交通事故も1件だったとのことでした。

決して、道路事情がいいのではなく、学童が危ない道をさけ、毎日慎重に通学し

ているからでしょう。幼稚園時代から、警察からの指導で道路歩行の練習をして

いる成果かもしれません。今までは幸運だったと考えるべきでしょう。交通事故

の悲劇が起こってからでは遅いのです。子供の安全は大人の責任です。

 老人の朝夕の散歩道は家の近くに限られます。今後老齢化が進む日本では、介

護されないための体力造りに高齢者の散歩は一番手軽な運動です。命がけの散歩

にならない環境が必要です。



 3年前にも、安全で快適な歩道の重要性についてこのコラムで書きましたが、

今も旭市の歩道事情はあまり改善されていません。

 我々の税金の使われ方はどのように決められるのでしょう。小学校の交通指導

に付き添った親たちは、異口同音に旭市の歩道のひどさを嘆いていたということ

です。その声は全く政策決定者には届かないようです。市民が年何回も使わない

体育館や地域限定の下水道よりも、毎日使う安全な道路環境の整備の方が優先順

位は高いと考える市民は私だけでしょうか。政策選択メカニズムにもっと注意を

払い、納税者の適切な行動が必要です。            f 2000.4.18


 
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