The Sky's The Limit



税  務

平成31年度税制改正のポイント(法人・消費課税編)

東京支部 支部長 佐藤
 平成31年度税制改正について、注目度の高いもの、多くのお客様にかかわる可能性が高いものを中心に以下にご紹介します。
※概ね増税となるものは【増】、納税者有利となるものは【減】と表示します。
法人税関連

1. 中小企業者等の法人税率の特例の延長【減】
 中小企業者等の法人税率について、年間800万円以下の所得金額に対する税率は15%のままで平成32年度末まで維持されます。

2.中小企業防災・減災投資促進税制の創設【減】
 中小企業が災害への事前対策を強化するための設備投資を後押しするため、自家発電機、制震・免震装置等の防災・減災設備に対して、20%の特別償却ができるようになります。

 経済産業大臣への「強化計画(仮称)」の申請・認定が必要です。なお、この制度は中小企業者の特例ですが、税額控除制度はありません。

3.中小企業・小規模事業者の設備投資支援税制の延長等【増】【減】
 中小企業の設備投資を後押しするため、「中小企業投資促進税制」、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」、「中小企業経営強化税制」の適用期限が2年延長されます。また、「中小企業経営強化税制」については対象設備が明確化され、働き方改革に資する設備(休憩室に設置される冷暖房設備や作業場に設置されるテレワーク用PC等)も対象となりました。

4.研究開発税制の拡充【減】
 研究開発投資を更に促進するため、控除上限を最大で法人税額の45%に引き上げ、オープンイノベーションや研究開発型ベンチャーの成長を促す措置を講じるなど、研究開発投資に対する減税措置が拡充されます。

5.医療機器に係る特別償却の拡充・見直し【減】
 長時間労働の実態が指摘される医師の勤務時間短縮のため必要な器具及び備品、ソフトウェア、また地域医療提供体制の確保のため地域医療構想で合意された病床の再編等の建物及びその附属設備、さらに共同利用の推進など効率的な配置の促進に向けた高額医療機器の3点において、特別償却制度の拡充・見直しが行われます。

① 医師及び医療従事者の働き方改革の推進
医師・医療従事者の勤務時間短縮に資する一定の設備(取得価額等が30万円以上のもので、都道府県等の確認を受けた医療勤務時間短縮計画に基づき取得する器具備品及びソフトウェア)について、取得価額の15%の特別償却ができるようになります。
② 地域医療構想の実現のための病床再編等の促進
民間病院等が地域医療構想調整会議において合意された具体的対応方針に基づき病床の再編等を行った場合に取得する建物等について、取得価額の8%の特別償却ができるようになります。
③ 医療用機器の効率的な配置の促進
配置の効率化又は共同利用を特に図る必要がある特定の医療用機器(CT、MRI)の効率化等を促す仕組みを講じたうえで、取得価額の12%の特別償却ができる現行の医療用機器の特別償却制度の期限が2年延長されます。

6.その他
 ・措置法の中小企業税制について、大規模法人が孫会社を利用することで特例対象とされていた会社について見直しが入ります。
 ・移転価格税制について、対象となる無形資産を明確化したうえで更正期間等を7年に延長する等の見直しが行われます。
 ・過大支払利子税制について対象とする利子の範囲等の見直しが行われます。
 ・法人税における仮想通貨の評価方法等が整備されます。
 ・法人事業税(所得割及び収入割)の税率が改正され、法人事業税(地方税)の一部が国税に分離されますが、税負担は改正前とおおむね同様です。

消費税関連
 消費税に関しては、今年度実務に大きな影響を及ぼす改正はありません。
 平成28年11月の税制改正で、消費税率の引き上げ時期及び軽減税率制度の実施時期は平成31年10月1日となりました。
 「リーマンショック級の経済危機が起こらない限り」との条件付きですが、今のところ政府は税率引き上げを実施する考えのようです。同時に飲食料品等の軽減税率に加え、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を行った場合に期間限定でポイント還元する施策も導入される予定です。
 新税率や軽減税率に対応する設備の導入と、それらを実際に運用するためのトレーニングやオペレーション構築のための準備時間は残り僅かです。

 税制改正の詳細については、法案成立後に随時皆様にお伝えしていきます。

ページの先頭へ戻る