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労  務


     最高120万円が支給される「65歳超雇用推進助成金」


                      税経管理第8部 部長 松村


 例年、雇用関係の助成金の大幅な改正は4月に行われますが、今年度は昨年9月

から開かれていた臨時国会において、助成金に関する補正予算が組まれたことを受

け、助成金の新設・見直しが行われました。


 今回はその中から中小企業を中心に活用が期待される、「65歳超雇用推進助成

金」についてとり上げたいと思います。


<現状の定年年齢の定め>


 高年齢者雇用安定法に基づき、65歳未満の定年を定めている企業においては、

従業員本人が希望すれば原則として65歳まで継続して働くことのできる仕組み

の導入が義務付けられています。


 厚生労働省が実施した「平成27年就労条件総合調査」の結果によると、定年を

定めている企業は92.6%です。また、一律定年制を定めている企業の内、定年

年齢が60歳である企業が80.5%、65歳である企業が16.1%となっていま

す。


 まだまだ多くの会社が60歳定年としつつ、再雇用制度等により65歳まで働け

る仕組みとしています。


<支給対象となる事業主の主な要件>


 この現状を踏まえ、今回の助成金では、平成28年10月19日以降に、労働協

約または就業規則に、次の@からBまでのいずれかに該当する新しい制度を定め、

実施した事業主に対し、その内容に応じた助成金が支給されます。


@ 旧定年年齢を上回る65歳以上への定年引上げ

A 定年の定めの廃止

B 旧定年年齢および継続雇用年齢を上回る66歳以上の継続雇用制度の導入


 対象となる企業の主な要件は、@からBの制度を規定する際に専門家への委託

費等の経費を要した事業主であり、支給申請日の前日において、1年以上継続し

て雇用している60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いることとなっていま

す。


 この他にも細かな要件がありますので、申請を検討される場合には、必ず事前に

ご確認ください。なお、支給申請の受付は、@からBの制度を実施した日の翌日か

ら起算して2ヶ月以内です。


<支給される助成金額>

 助成金額は、導入する制度に応じてそれぞれ次の金額となり、一時金として支給

されます。


(平成29年5月1日以降に支給申請した事業主から助成額が変更になる
予定です)



平成29年4月30日までの支給申請分
導 入 す る 制 度 助 成 額
65歳への定年引上げ 100万円
66歳以上への定年引上げ又は定年の定めの廃止 120万円
希望者全員を66歳から69歳まで継続雇用する制度の導入 60万円
希望者全員を70歳以上まで継続雇用する制度の導入 80万円



 なお、複数の制度を合わせて導入した場合は、最も高い額のみの支給となります。


 最近は深刻な人材不足の状況となっていますが、特に中小企業においては実質的

に全従業員が65歳まで雇用されているような状態が多いのではないかと思いま

す。

 今回の助成金を活用して定年年齢の引上げを検討される場合は、独立行政法人高

齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部にお尋ねください。


<独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 千葉支部>

高齢・障害者業務課 TEL 043−204−2901


<独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 東京支部>

高齢・障害者業務課 TEL 03−5638−2794




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