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税  務


             
相続税の事前対策


                     税務管理第14部 部長 平野


 平成27年1月1日以降に発生する相続より相続税法が改正され、2年が経過し

ました。基礎控除が大幅に縮小され、資産家しか当てはまらないイメージがあっ

た相続税の課税対象世帯が広がっています。

 「自分は関係ない」と思っているとごっそり税金を持っていかれてしまうこと

になりかねません。


 実際に相続税の申告業務は増えています。その中で、事前に準備をしていれば

と思うケースが多々あります。相続税はある程度事前に対策を立てることのでき

る税金です。「死んだ後でなんとかしよう」では遅いのです。相続税の節税に関し

ては、被相続人の死亡前にしかほとんど効果がないと思われます。又生前からよ

く考えて対策をしなければ、相続の段階で様々な面倒も生じます。


 相続税の対策は、家族構成や財産の内容により異なりますし、時間とともに状

況も変化します。計画を立てても、定期的に見直す必要があると思います。

 相続税の対策は「いかに課税財産を減らすか」が第一になると思われますが、そ

れと同時に、相続税の納税資金を確保することも大切な対策のひとつです。相続

税の納付は原則「現金」です。相続税額を減らすことはできたが納税資金がないと

いうようなことがないようにしたいものです。


 相続税のための節税対策として有効な方法のひとつとして、「生前贈与」があり

ます。木村会計ニュースの2016年9.10月号に掲載しておりますので、読み返し

てみてください。年間110万円までなら税金はかからないということを知ってい

る方は多いと思います。しかしその贈与の仕方次第で課税されるケースもありま

す。(暦年贈与は注意さえすれば有効な節税対策です)


 次に今まで実際にご相談のあった中から3件をご紹介します。


Q1 養子縁組で相続税を減らせますか。

Q2 相続時精算課税で子供に生前贈与したいのですが。

Q3 更地にアパートを建てると相続税を減らせますか。


 3件とも、有効な相続税対策であると思います。しかし、すべてのケースに有効

かというと必ずしもそうではないといえます。


 Q1の場合ですが、相続人を増やすことにより確かに相続税の節税になります。

しかし、養子も遺産分割協議に加わることとなり相続争いになる可能性がありま

すし、孫を養子にした場合は相続税が2割増しとなる等のデメリットが生じます。


 Q2の場合ですが、まとまった大きな財産や利益を生む財産に適用する場合は良

いと思います。ただし、将来不動産が値下がりした場合は損ですし、暦年贈与が選

択出来なくなる等のデメリットもあります。


 Q3の場合ですが、アパートの事業リスクやアパートが建っているために土地の

売却が困難になる場合、又相続時の資金繰り等にデメリットが生じるケースが

考えられます。


 相続税の対策は、前述したように家族構成や財産内容また人間関係などにより

個々の事情に即してということになると思います。準備をするのに時間も必要で

す。


 「我が家の相続は大丈夫だろうか。」とお考えの方は、ぜひ私達各担当に一度御

相談いただければと思います。



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