前のページへ
The Sky's The Limit No.162 Page 2
次のページへ
法 務
マイナンバー制度
税経管理第10部 部長 山内
平成28年1月より、マイナンバー制度が運用を開始します。
<マイナンバー制度の概要>
正式名称は「社会保障・税番号制度」といい、住民票を有するすべての個人、及
び法人に番号が提供され、社会保障、税、災害対策等で効率的な情報管理を行うた
めに活用される予定です。これにより公的機関間で情報のやり取りがしやすくなり、
手続きの簡素化及び効率化、不正防止、データ照合ミスの解消などが期待されてい
ます。
この制度導入により、皆様にも少なからず影響があります。人事・給与業務の増
大や厳重な管理が必要となるデータの保持、漏洩時の罰則などに注意を払わなけれ
ばならなくなります。
制度の運用開始は平成28年1月ですが、平成27年10月より住民票の住所に12桁
のマイナンバーが記載された通知カードが書留で届きます(法人は本店所在地に
書面通知)。
<注意点>
マイナンバーの管理・使用には大変厳しい制限が付けられています(法人を除く)。
源泉徴収票等への記載など使用できる業務が限定されており、その他の目的に利用
することは禁止されています。
そのため、取り扱う人を限定し、電子・紙問わずきちんとアクセスコントロール
する必要があります。また、保管期限の経過や不要となった個人情報は、その時点
で破棄することが求められます。
マイナンバーの収集にも手続きが必要とされ、本人確認手続が義務付けられます。
これは、番号確認としてその提供を受けたマイナンバーが本人のものである確認の
ために通知カードまたは個人番号カード(後述B)の提示と、通知カードのときは身元
確認のために通知カードに加えて運転免許証等の提示を受ける必要があります。
ただし、特例として雇用関係にあり、雇用時に身元確認を行っているときには上
記身元確認は不要で、通知カードの提示のみで良いとされています。
また、不正利用に対する罰則・処罰が重いものになっています。例えば個人番号
利用事務等に従事する者の正当な理由無く特定個人情報ファイルを提供した行為で、
懲役4年以下または200万円以下の罰金または併科など法定刑が重いものとなって
います。さらに「両罰規定」といい、行為者だけではなくその法人等も罰せられる
ので、注意が必要です。
<個人番号関係事務実施者の具体的な対応>
社会保障や税の行政手続き上、他人のマイナンバーを収集した上で、このマイナ
ンバーを記載した書面を行政機関等に提出することを「個人番号関係事務」といい、
これを実施する者を「個人番号関係事務実施者」といいます。
従って、給与所得の源泉徴収票や支払調書、雇用保険や社会保険の事務を行う法
人・個人・税理士・社会保険労務士等がこの個人番号関係事務実施者に該当します。
この個人番号関係事務実施者は、規模の大小を問わず、以下のような制限が番号
法により課せられます。
(1) マイナンバーの利用の制限(番号法9)
法に定められた以外の目的では、マイナンバーの利用は禁止されます。
(2) マイナンバーの提供の制限(番号法19)
法に定められた以外の目的では、マイナンバーの提供は禁止されます。
(3) マイナンバーの収集・保管の制限(番号法20,28)
法に定められた以外の目的では、マイナンバーの収集・保管は禁止されます。
また、必要以上の特定個人情報ファイルを作成することも不可となります。
(4) マイナンバーの安全管理措置(番号法12)
マイナンバーの漏えい、滅失または毀損の防止やその他適切な管理のために必
要な措置をとることが必要とされます。この必要な措置とは、以下のA〜Fの
措置をとるべきとされています。
A、基本方針の策定
@「特定個人情報等の適正な取扱に関する基本方針」の策定
B、取扱規程等の策定
@取扱事務、取扱個人情報の範囲、担当者の明確化 A「特定個人情報取
扱規程」の策定
C、組織的安全管理措置
@組織体制の整備・ログ、使用実績の記録 A取扱状況等を確認する手段
の整備 B情報漏えい等事案に対応する体制の整備 C取扱状況の把握
及び安全管理措置の見直し
D、人的安全管理措置
@事務取扱担当者の監督と教育
E、物理的安全管理措置
@取扱区域の管理 A機器等の盗難防止措置 B電子媒体持出し時の漏
えい防止 Cマイナンバー削除、機器等の廃棄管理
F、技術的安全管理措置
@アクセス制御 Aアクセス者の識別と認証 B外部からの不正アクセ
ス防止 C情報漏えい等の防止
詳しくは、内閣府提供の「事業者向けガイドライン」をご参照ください。
<経営者の皆様へ>
※御社従業員の方々に対して、以下内容のご説明をお願いします。
@ 通知カードに記載のマイナンバーは、絶対に他人に教えないでください。
A 通知カードは、絶対に紛失しないように管理してください。
B 平成28年1月以降、申請手続きを行うと通知カードに換えて個人番号カード
を発行することができます。
C 平成28年1月以降の「扶養控除申告書」提出時に、従業員本人と扶養家族の
マイナンバーを記載してもらうとともに、従業員の通知カード(または個人番
号カード)を提示してもらう必要があります。
<木村会計からのお願いと基本方針>
法施行日以降の税務業務または年末調整・法定調書業務には、マイナンバーの印
刷が含まれる業務があります。これを行うために、現在の顧問契約書内容に追加す
る形で、特定個人情報の取扱いに係る「覚書」への署名押印をお願いする予定です。
また、マイナンバーが含まれている「まるごと経理部」を始め各業務ソフトに対
し、アクセス制限目的でのID・パスワードの設定をお願いする予定です。
マイナンバーに対する基本方針を、下記弊所サイトに掲載する予定ですので、ご
一読ください。(./)
<まるごと経理部の対応>
「まるごと経理部」では、マイナンバーのデータ保存において、@データの暗号
化、A権限設定にマイナンバー管理項目の追加、Bマイナンバーの印刷制限、Cア
クセスログの記録、Dマイナンバーの一括削除 の対策を実施するために作業を進
めています。
前のページへ The Sky's The Limit No.162 Page 2 次のページへ