前のページへ  木村会計 The Sky's The Limit No.158 Page 3  次のページへ

税 務


      改正「事業承継税制」の概要


                   税経管理第7部 部長 小島


1 概要


 事業承継税制とは、中小企業等の後継者が、経済産業大臣の認定を受

けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続または贈与により取得し

た場合において、相続税・贈与税(相続80%分、贈与100%分)の納税が

猶予される特例制度です。ただし、どちらも発行済議決権株式総数の3分

の2までで、この中には後継者がすでに保有していた議決権株式数が含ま

れます。


2 平成25年度における制度改正


 事業承継税制の創設当初は税制面より事業承継を支援する政策として期

待されていました。しかし制度の利用に際しては「雇用の8割確保」「先

代経営者の役員退任(贈与税の納税猶予の場合)」「後継者の親族間承継」

などの各要件が厳しく定められており、さらに使い勝手が悪かったことも

あり、摘用の前提となる「経済産業大臣による事前確認」を受けた企業は

少数にとどまっていました。

 そのため関係各方面から制度の見直しが要請され今年度において制度の

抜本的な見直しが図られました。


3 税制改正のポイント


(1) 事前確認の廃止 手続きの簡素化

平成25年3月まで  制度利用の前に、経済産業大臣の
            「事前確認」を受ける必要あり。

⇒平成25年4月〜  事前確認を受けていなくても
            制度利用が可能に。


(2)親族外継承の対象化 親族に限らず適任者を後継者に

現在       後継者は、現経営者の親族に限定。

⇒平成27年1月〜  親族外承継を対象化
            ⇒後継者の引受け手が拡大


(3) 雇用8割維持要件の緩和 毎年の景気変動に配慮

現在       雇用の8割以上を「5年間毎年」維持。

⇒平成27年1月〜   雇用の8割以上を
         「5年間平均」で評価。


(4) @ 納税猶予打ち切りリスクの緩和 利子税負担を軽減

現在     要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、
        納税猶予額に加え利子税の支払いが必要。

⇒平成26年1月〜 利子税率の引下げ(現行2.1%→0.9%)

⇒平成27年1月〜 承継5年超で、5年間の利子税を免除


A 納税猶予打ち切りリスクの緩和 事業の再出発に配慮

現在   相続・贈与から5年後以降は、後継者の
        死亡又は会社倒産により納税免除。

⇒平成27年1月〜
       民事再生、会社更生、中小企業再生支援協
       議会での事業再生の際にも、納税猶予額を
       再計算し、一部免除。


(5) 役員退任要件の緩和 〜現経営者の信用力を活用


現在   現経営者は、贈与時に役員を退任。

⇒平成27年1月〜
     贈与時の役員退任要件を代表者退任要件に。
     (有給役員として残留可)


(6) 債務控除方式の変更 債務の相続があっても株式の納税猶予を
                フル活用できるように

現在    猶予税額の計算で現経営者の個人債務・葬式費用
      を株式から控除するため、猶予税額が少なく産出。

⇒平成27年1月〜
      現経営者の個人債務・葬式費用を
      株式以外の相続財産から控除。


(7) 株券不発行会社への適用拡大 〜株券不発行でもよい

現在   株券を発行する必要あり。

⇒平成27年1月〜   株券を発行しなくても、担保提供を可能とし、
           株券不発行会社に制度活用の途を開く。


 以上、改正点を中心にご紹介しましたが、摘用要件等の詳細につ

きましては各担当者にお尋ね下さい。




前のページへ  木村会計 The Sky's The Limit No.158 Page 3  次のページへ