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税 務
平成26年度税制改正大綱のポイント
税経管理第9部 部長 佐藤
平成25年12月24日に、平成26年度の税制改正の大綱が閣議決定されました。
例年よりも1ヵ月早い異例の措置で、アベノミクス第三の矢となる成長戦略を実現
するための項目が多く盛り込まれたものとなっています。今後国会の審議を経て、
可決されれば平成26年4月以後に施行されます。
以下、主要項目の概要をご紹介いたします。
※おおむね「増税」となるものは(増)、「減税」又は納税者有利となるものは(減)と表示します。
(1)復興特別法人税の1年前倒し廃止(減)
復興特別法人税が1年前倒しで廃止されます。詳細はまだ不明ですが、課税期
間が現行法で3年間となっているものが、「平成24年4月1日から平成26年3月
31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過す
る日までの期間内の日の属する事業年度」(2年間)になるものと予想されます。
(法人税及び復興特別法人税) | 改正前 | 改正後 | |
中小法人 | 年800万円以下 | 16.5 % | 15% |
年800万円超 | 28.05% | 25.5% | |
中小法人以外の普通法人 | 28.05% | 25.5% |
これに伴い、法人実効税率が、大法人では約2.4%程度引き下げられます。
(2)所得拡大促進税制の拡充(減)
給与等の支給額を増加させた場合に増加額の10%を税額控除する制度で、現行
の要件(総額5%増加など)が緩和されます。一部の緩和要件には、平成25年度
にさかのぼって適用できるものもあります。その場合、平成26年度に税額控除額
を上乗せできます。
(3)生産性向上設備投資促進税制の創設(減)
設備の更新等を促進し、生産性の向上を図るため、先端設備導入、生産ライン
やオペレーションの刷新・改善のための設備投資を行った場合、即時償却又は5%
の税額控除ができます。製造業だけでなく、物流・流通サービス業など非製造業
も活用可能です。計画認定を要しないなど手続きも簡便で、また、産業競争力強
化法の施行日(平成26年1月20日)から前倒して適用できます。
(4)中小企業者等投資促進税制の拡充(減)
中小企業の投資の活性化を図るため、現行の中小企業投資促進税制の適用期限
を平成29年3月31日まで延長するとともに、対象となる特定機械装置等が(3)
の生産性向上設備投資促進税制の対象設備等である場合には、以下の特別償却又
は税額控除ができます。
資本金 | 現行 | 改正案 |
3,000万円超 1億円以下 | 30%特別償却 (税額控除なし) |
即時償却 又は7%税額控除 |
3,000万円以下 | 30%特別償却 又は7%税額控除 |
即時償却 又は10%税額控除 |
(5)交際費課税の特例措置の見直し(減)
中小法人の交際費を800万円まで100%損金算入できる措置の適用期限が2年延
長されます。また大法人を含めた全法人について、交際費(飲食費に限る)を50%
損金算入(上限なし)できる措置が創設されます。中小法人については現行の定
額控除(年800万円まで100%)との選択ができます。
(6)簡易課税制度のみなし仕入率の見直し(増)
消費税の簡易課税制度のみなし仕入率が、平成27年4月1日以後に開始する課
税期間から引き下げられます。
該当する事業 | 現行 | 改正案 |
金融業及び保険業 | 60% | 50% |
不動産業 | 50% | 40% |
(7)医療継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設(減)
相続人が「持分の定めのある医療法人」の持分を相続又は遺贈により取得した
場合に、その医療法人が「※認定医療法人」であるときは、その持分に係る相続
税を「移行計画」の期間満了まで猶予する制度が創設されます。また、贈与税に
ついても一定の納税猶予制度が創設されます。
※認定医療法人…良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部
を改正する法律に規定される移行計画(仮称)について、認定制度の施行の日
から3年以内に厚生労働大臣の認可を受けた医療法人
(8)高所得層の給与所得控除の見直し(増)
給与所得控除額に、下記の通り上限が設けられます。
現行 | 平成28年分より | 平成29年分より | |
給与収入 | 1,500万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
給与所得控除額 | 245万円 | 230万円 | 220万円 |
(9)車体課税の見直し(増)(減)
消費税の段階的引上げと環境配慮のため、以下の措置が講ぜられています。
平成26年度改正 | |
自動車取得税 | 税率引き下げ、エコカー減税拡充(消費税10%時点で廃止) |
自動車重量税 | エコカー減税拡充、経年車に対する増税 |
自動車税 | 環境負荷の大・小による重課・軽課の見直し |
軽自動車税 | 平成27年度から税率引き上げ、経年車に対する重課など |
(10)その他の項目
上記以外の主な項目として下記のもの(Fを除き減税又は納税者有利)があり
ます。
@NISAの利便性向上についての見直し
A研究開発税制の拡充
Bベンチャー投資促進税制の創設
C事業再編促進税制の創設
D復興産業集積区域で機械等を取得等した場合の特別償却又は税額控除の延長
E納税猶予制度の見直し
F法人住民税の一部国税化
今後各法案が通常国会で審議され、場合によっては内容の修正や要件の追加・
削除等が入る可能性もありますのでご注意ください。木村会計は引き続き皆様に
関連情報をご提供させていただきます。
改正内容の詳細については木村会計の各担当者にお尋ねください。
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