前のページへ  木村会計 The Sky's The Limit No.149 Page 3  次のページへ


経 営


                 和菓子屋の戦略


                           税経管理第3部 部長 林


1. 企業環境と分析

 企業を取り巻く環境は益々厳しさを増しており、マーケットで支持されるという事は

容易ではありません。その様な環境下でも企業が少しでも安定した収益を確保するため

にはどの様な経営戦略を採れば良いのか、それを幾つかの業種ごとに探って行く為の職

場研修が現在行われています。


 複数の職員が意見を述べ合う事により、普段思いつかない様な強烈なアイデアがそこ

で発見される事も少なくありません。

 
 物事がうまくいくには必ず根拠があります。時間を割いて、この根拠をもう一度考え

て、新たに戦略を練る事がとても重要ではないかと思います。


 企業を取り巻く環境が一段と厳しさを増している昨今では特に重要です。


 研修時に取り上げる業種は研修の都度違いますが、毎回の研修は必ず消費者視点に立

ち、分析が行われているという点では共通しています。


 まずは担当者がその業界全体の現状を一通り説明した後、職員全員が事前に考えてお

いた、安定収益を確保する為のアイデアをそこで発言し合い、それに対して全員が意見

を述べるという方法を採って居ります。


2. 今回は、和菓子製造販売業について分析

 今回分析した業種は、和菓子製造販売業です。日頃から食べ歩きに頻繁に行っている

という職員の中から、10名程度に集まって貰いました。1人15分程度の時間で、事前

に思いついたアイデアを全員に述べて貰いました。


 その際、和菓子製造販売店数社の店内風景及び商品にかかわる写真を見ることが出来

る環境も整えて比較しました。以下に研修の様子を概略で示します。


<研修の流れ> 

1.(現状を知る)⇒2.(ニーズを知る)⇒3.(実行すべき点を探る)



1. その業界全体の現状(現状を知る)


 上記の表により、菓子類の1世帯平均1ヶ月間の支出が4,160円(平成23年度)

となっており、過去の推移を比較してみると一定金額は確保されている事が確認出来

ます。


 又、他の資料により、一般家庭での消費については、若干の購入単価の低下が見

られるものの、健康志向の高まり等による和菓子販売数の増加が見られました。そ

の結果、全体としてほぼ横ばい傾向となっています。


 和菓子は50代以降の年齢層の人に特に人気が高いという傾向が有ります。


 ようかん・まんじゅうが低迷しており、他の和菓子は横ばい、チョコレート、他

の洋菓子が伸びているという傾向もあります。


2. ニーズを知る

 その商品を扱うお店の選択理由として挙げられた点は、口コミが圧倒的に

多い印象がありました。他の理由として、清潔感、希少性、外から中の様子

が分かる、駐車スペースの有無などが挙げられました。商品の選択理由として職員の多

くが挙げた点は、見た目です。味は勿論、「おいしそうに見える」という部分は非常に

重要な要素となっている様です。他に価格、安全なもの(健康、衛生)、珍しいもの、

食べやすさなどの意見が多数有りました。


3.実行すべき点を探る

 オリジナル商品の充実感という点を挙げる職員が多く、他に季節感をもった商品を更

に充実させる、商品が見えやすいショーウインドウの導入、中に入らないと何が置いて

あるか分からないという点の改善、広い駐車スペースを確保するなどの点は重要な要素

として挙げられました。


 今後の展開

 上記事項等をどれだけ実行出来るかという点や、販売ルート増強、広告・サイト等の

積極的利用等で販路拡大も検討する事や、初めて来店した消費者、久しぶりに来店した

消費者を確実に固定客へ導く為などの工夫が更に大切になってくるものと考えます。


 又、この業種のポイントは、後継者の有無が大きく関係してきます。後継者が入る事

で大きく飛躍するチャンスも生まれます。

 この業は伝統産業のひとつで、先祖の商いを継承しているケースが多いものですが、

中には新規参入して繁盛店となった店も多く存在しています。

 何故、新規参入の店が繁盛しているのか。元来その業種でなかったため、既成概念に

疑問を持ち、自らのアイデアを商品化した事が一つの要因です。


 これだけは絶対に負けないというオリジナル商品を開発、製造、販売することが大切

です。最初は思い描いていた通りにならない事が多いかも知れませんが、「将来こうい

う商品を作りたい」という希望を持ち続け、自らのアイデアを上手く商品化出来ればや

がて良い結果を生むのではないかと思います。


 終了後、職員から出たアイデア等を一覧にしてみました。私共は、これを、消費者の

立場で皆様方へご提案し、参考にして頂ければと思います。

 私共は、経営者皆様にお悩みをご相談頂き、問題解決をご支援できる会計事務所を目

指しております。お客様と一歩一歩進んでいきたいと存じます。




前のページへ  木村会計 The Sky's The Limit No.149 Page 3  次のページへ