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税 務
相続税改正
「その内容と今後」
税経管理第2部 部長 並木
平成23年度税制改正大綱の中で相続税は、格差是正と富の再分配機能の回復を図る
観点から、課税が強化される改正が示されました。しかし、ねじれ国会や震災の影響など
により、税制改正大綱通りに成立しませんでした。平成24年度税制改正でも実施は見送ら
れましたが、社会保障と税の一体改革大綱のなかで「相続税の基礎控除等の見直しを行
い、税制全体としての再分配機能の回復を図る」と、相続税改正が盛り込まれました。一体
改革関連法案は、民主、自民、公明の3党が修正に合意し今年6月26日に衆議院で可
決、参議院に送付されていました。当初法案にあった相続税増税を規定した租税特別措置
法については、平成25年度税制改正において議論する旨の規定が附則に設けられて、
先送りされました。いま先送りされている相続税改正についてまとめます。
@基礎控除が4割縮小
現行法 5,000万円+1,000万円×法定相続人
改正案 3,000万円+600万円×法定相続人
相続人2人のケースでは、7,000万円(5,000万円+1,000万円×2)以上
の遺産がなければ相続税がかかりませんでしたが、改正後は基礎控除が4
割引き下げられる為、4,200万円(3,000万円+600万円×2)以上の遺産が
あると原則として相続税が課税されます。
基礎控除引き下げで、課税対象者が大幅に増加します。
A最高税率が50%から55%に引き上げ
現行法 最高税率50% 税率区分は6段階
改正案 最高税率55%(遺産6億円超)
新区分税率45%(遺産2億円超3億円以下)
税率区分は8段階
現 行 | 改正案 | ||||
課税財産* | 税率 | 控除額 | 課税財産* | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
− |
1,000万円以下 |
10% |
− |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
5,000万円超 1億円以下 |
30% |
700万円 |
5,000万円超 1億円以下 |
30% |
700万円 |
1億円超 3億円以下 |
40% |
1,700万円 |
1億円超 2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円超 |
50% |
4,700万円 |
2億円超 3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
3億円超 6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
|||
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
*課税財産は、基礎控除後
B生命保険の非課税枠‐控除制限
現行法 法定相続人×500万円
改正案 法定相続人(下記制限)×500万円
法定相続人のうち、未成年、障害者及び
相続開始直前に被相続人と生計を一にする相続人に限る
亡くなった親から独立した子の非課税枠がなくなります。
C相続時精算課税制度の対象者拡大
現行法 受贈者 推定相続人
贈与者 65歳以上
改正案 受贈者 20歳以上である孫が追加
贈与者 60歳以上
相続税改正がいつから施行されるか、まだはっきりしていません。平成25年度
税制改正での改正が濃厚ですが、課税強化の方向性は変わらないと思います。相続税
対策はお早めに担当者にご相談ください。
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