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税 務
200%定率法導入の留意点
税経管理第11部 部長 細美
平成23年度税制改正において、200%定率法が導入されることになりまし
た。今回は、200%定率法を導入するときの留意点について説明させて頂き
ます。
1 250%定率法と200%定率法の比較
平成24年4月1日以後に取得される減価償却資産の定率法償却率につい
て、250%定率法から、200%定率法への引き下げが行われました。
これは従来の定額法償却率の2.5倍の償却率から2倍の償却率に引き下げ
られることにより、初期に償却できる限度額が下がることになります。
(例)耐用年数が5年 取得価額50万円の資産の場合
定額法 | 250定率法 | 200定率法 | |
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 |
100,000 100,000 100,000 100,000 99,999 |
250,000 125,000 62,500 31,250 31,249 |
200,000 120,000 72,000 54,000 53,999 |
計 | 499,999 | 499,999 | 499,999 |
5年で償却できる金額の合計は同じですが、250%定率法が早期に多額の償
却が可能です。
2 2つの経過措置
200%定率法が適用されるのは、原則として平成24年4月1日以降に取得
される資産からですが、これには2つの経過措置が設けられています。
@ 平成24年3月31日以前に開始し、かつ、同年4月1日以後に終了する
事業年度に取得した減価償却資産については、4月1日以後に取得した減価
償却資産であっても250%定率法で償却を行うことができます。
A 250%定率法で償却している資産について、平成24年4月1日以後最初
に終了する事業年度の申告期限までに届出書を提出することにより、200%
定率法に変更することができます。この場合、当初の耐用年数で償却を終了
することが可能です。
3 シミュレーション
平成24年4月1日以降、最初に終了する会計期間においては、200%定率
法の導入方法について検討する必要があります。
例えば平成24年8月決算だった場合には、3つの方法が考えられます。
@ 2−@の経過措置を適用して、200%定率法は平成24年9月1日以後に
取得する減価償却資産から適用する(適用開始日の先送り)。
A 2−Aの経過措置を適用して、届出書を提出の上、250%定率法で償却
している減価償却資産についても200%定率法を採用する(200%定率法へ
の統一)。
B 原則どおり平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産から200%
定率法を採用する。
まず@の方法で適用開始日を先送りにした場合には、平成24年4月1日
以後取得資産についても250%定率法を適用することになるため、Bの原則
の方法よりも有利になります。
問題は@とAとの比較です。
既存の減価償却資産について、200%定率法に変更した場合には、耐用年
数も見直されるため、償却費が増加する場合があります。ただし平成24年
4月1日以降に取得した資産についてはAの方法の方が有利のため、一概に
どちらが有利とは言えません。
最良の方法は、2つの経過措置について、それぞれを適用した場合の償却
費を計算してみて、有利な方を選択することです。
ただし、Aの経過措置を適用する場合には、税務署への届出が必要になり
ますので、ご注意ください。
詳しくは担当者まで、お気軽にご相談ください。
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