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3・4 −中小企業を支援する税制改正とセーフティネット融資−

March・April                    所長 木村哲三


 平成21年度の税制改正が閣議決定されました。今回の改正の一番の特徴は、

中小企業に対する支援策です。過年度までは、一般の中小企業が優遇される

政策は少なかったです。試験研究費の減税等、開発型のベンチャー優遇策が

目立ちました。伸びるベンチャー支援、一般の中小企業軽視姿勢が転換しま

した。


 中小企業対策の目玉の一つは、中小企業の所得800万円までの軽減税率を

22%から18%へ4%減を2年間(平成21年4月1日から平成23年3月31日ま

での間に終了する各事業年度)行うことです。

 もう一つの目玉は、中小企業については、17年間凍結されていた欠損金の

繰り戻し還付制度が本年度より(平成21年2月1日以後に終了する各事業年

度において生じた欠損金額より)復活します。昨年の北京五輪まで好調で黒

字決算の会社が多かったですが、その後の急激な景気後退で昨秋以降は赤字

決算の会社が大幅増です。欠損金額の税額還付は、こういった会社の資金繰

りを大いに助けます。


 中小企業の融資面では、セーフティネット融資が順調に機能しています。

昨年の秋頃から製造業を中心に受注が激減し、資金繰りに窮する会社が増え

ました。このタイミングで適切な融資が受けられないと倒産会社が続出する

ところでした。セーフティネット融資という制度ができても、審査が厳しく

実際には借りられないという場合は何の役にも立ちません。今回は、いまま

でのところ審査も早く、私の知っている限りでは、セーフティネット融資を

申し込んだ会社のほとんどが融資を実行してもらっています。

 ただし、景気の回復が遅れ、今回の融資資金の焦げ付きが増えてきた時に

金融機関の融資姿勢がどうなるか予断を許しません。


 マスコミは風が変わると良いことは取り上げず、何でも悪い記事ばかり載

せるように感じます。今回の不況時の中小企業対策に関しては、麻生政権を

評価したいと思います。


 今年度の税制改正の中小企業対策を見ますと、日本経済における一般の中

小企業の重要性が見直された結果だろうと思います。ジャスダック等の新興

市場の株価は惨憺たるもので、ベンチャー頼りの限界は明らかです。日本の

経済を根底で支えているのは480万社の一般の中小企業です。


 中小企業の応援団である木村会計は、税務、会計はもちろん中小企業の方々

の資金繰りはじめ様々な問題解決のお役に立ちたい所存です。  20090217


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