前のページへ  木村会計 The Sky's the Limit No.121 Page 4  次のページへ

サ ロ ン


          
「ピアノ再出発」 続編


                    税経管理第2部 加瀬 裕美 


 ピアノを再開してからあっという間に2年がたちました。たくさんの事を

学ぶ中で、音楽の奥深さと学ぶ姿勢の大切さを知りました。


 あるレッスンの日のことです。先生曰く「あなたの演奏は疲れるわね、真

面目すぎるの、聴いていて苦しくなってくるわ」。超ショック!でした…。思

えば、楽譜を追うことに精一杯で演奏はできるものの、その先にある余裕な

どには手も届いていません。練習もさぼってばかりでは上手く弾けるはずも

なく、音楽性云々までとても到達していないのです。この時私は、自分自身

の原因(適当に練習し未完成の曲を無難に弾くこと)で自分の音楽をちっと

も楽しくないものにしてしまっている、強くそう思いました。

 それから先生は、ちょっとお聞きなさいと、フィガロの結婚をピアノを弾

きながら歌ってくれたのです。感激!!!しました。間の取り方、呼吸、ピ

アノの響き。美しい曲の流れには無理な指の動きは少しもなく、自然で軽や

かなピアノと歌声が共鳴しあい、音楽が部屋いっぱいに広がりました。

 「音はね、空気に共鳴するのよ。緊張も共鳴するから緊張してガチガチに

なっていたら聞く方も疲れるの、力を抜いて自然に呼吸をするのよ」。音楽の

深みや自然さは、真剣に練習した後、演奏があるレベルに到達して初めて出

てくるものだと感じました。

 レッスンも進み数ヶ月が経った日のこと、先生は「この曲はできてもでき

なくても今日で終わりにします、さあどうぞ」と、少し離れた所に座りまし

た。最終試験です。曲はモーツアルトのソナタK545。子供の頃には何も考

えずサラッとひいていた曲なのに、大人になって改めて向き合うと、とても

難しく深い…緊張!します。肩の力を抜いて…自然に…ゆっくりと呼吸…。

無事に弾きおえると、「あなたよく勉強したわね、わたくしもあなたと一緒に

やっているとたくさんの新しい発見があるわ、これからも一緒にお勉強して

いきましょう」と言ってくださいました。少しだけ進歩した自分の音楽性を

褒められたようでとてもうれしかったです。

 これからも音楽に対して真剣に向き合い、まだまだ挑戦を続けていきたい

と思います。



前のページへ  木村会計 The Sky's the Limit No.121 Page 4  次のページへ